ルーピー狩り #2
イクミは急いで雑居ビルの外階段、ベニアで囲まれた灼熱の階段を、下着にヒールのサンダルをコツコツと響かせながら降りていく。
このあたりは昼間はめったに人通りのない繁華街の外れ。昼間は死んだ街なのである。夜になると、亡者達が集まってくる。ゾンビの街。
「どっちにしろ、死人の街なのよね」そんなことを寧鳥博士はよく言っていた。
「今日ばっかりは、ゾンビの街で助かったわ」イクミはそんなことを言いながら、ベニアの薄い壁の内側から、まずは顔を出してあたりをキョロキョロする。
「熱っ・・」思わず肩がベニアに触れてしまってやけどするほどの熱さだった。
「そうだった。ほとんど裸なんだよね。気を付けないと」
外は運良く、いやほぼ毎日そうだが、誰もいなかった。
「よし!」指さし確認をしてイクミは雑居ビルの汚い壁に立てかけられたループに駆け寄る。
白いレースのブラジャーに覆われたHカップの巨乳がぶるんぶるんと左右に振られ、身体を引っ張られる。ループを起動させて走りだした。
灼熱の太陽の下、誰もいない真っ昼間の路地を、ループで駆け抜ける下着姿のイクミ。
「あーん。快感、気持ちいいかも〜」そんな大声を出して、裸で風を感じながら駆け抜けていく。
薄暗い路地は、真夏の陽射しとの対比で、まったく真っ暗に見える。そんな真っ暗な路地と交差してイクミが通り過ぎた。
「今、通り過ぎたぜ」下卑な男の声が路地からこぼれる。
「ああ、見た、一瞬だったけど。薄着のリア充っぽい女だった」
「ああいう女には、天誅だ」
「そうだ。罰を加えなければならない」
「ルーピー狩りだ!」