ルーピー狩り #1
「イクミちゃん、君さ、今日ループで来たの?なんかうちの建物の前に、ループ止まってたよ」
医師の寧鳥が助手のイクミに声をかける。
「ROOP流行ってるから、乗ってみたくて。あとうちのクリニックって駅から遠いじゃないですか。試しにつかってみようかなーって」
「あれってあんなとこ止めといていいの?」
「いや、ちょっとわからないです。私も今朝はじめて乗ったので・・・」
イクミが急に不安そうな顔になる。
「もしかして・・・、今もお金かかってたりしますかね?」
「・・・そのまさかかも・・・」
寧鳥がパソコンで画面をしらべてる。
「ほ、ほんとですか?」イクミが恐怖に顔を引きつらせる。
「はやく、返しに行った方がいいんじゃない?」寧鳥が心配そうにする。
「車庫が近くにないと、てんでつかいものになりませんね、このサービス」
「ほんとだね。はやくいってきな」
寧鳥は、イクミを急かした。ところが
「でも、このかっこじゃイケないですよね?」
「この都心のどまんなかなら、大丈夫でしょ」
「だいぶ、都心からは外れてますよ」
イクミは自分の全身を見る。白いレースのブラジャーに、白い紐パンT。どうしてそんなことになっているのかと言えば、
「さっきのお客さんの精子が、かかっちゃったからね。まだ乾かないよ」
寧鳥が残念そうな顔をしているが目の奥が光っている。
「先生の白衣貸してください」
「だめだよ。僕が医者っぽくなくなっちゃうじゃないか。僕の大事な一部だからいくらイクミちゃんが裸でも貸すことはできないんだ。本当にすまない」
「そんな〜」
「ああ、こんなことをしている間にも、ループの課金が進んでる!」
「うえーん。ひどいよー」
「もう諦めて、行ってきなさい!」
「はーい。わかりました」
渋々、イクミは下着姿のままクリニックを出て行った。